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野良猫クロの話、最終話です。
一・二話はこちら。
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クロの話を最後まで読んでくださりありがとうございます。一昨年、去年と続けてメルとラテを保護した間には、何もできなかったクロがいました。
クロが私の前から去って行ったのはちょうど一年前。時間の経過と共に記憶が薄れてしまわないよう、描いている間に自分なりの答えが出るかもと思い描き始めましたが、結局最後まで答えは出ませんでした。
野良猫を保護することは不幸な猫を増やさないための方法のひとつだと思います。ですがそれには責任と時間とお金も多くかかります。自分でお世話したり家に迎えることができず保護団体などに託す場合も、その負担を相手に強いる覚悟が必要です。
私にはその覚悟もないことを、クロは最初から見抜いていたのかもしれません。ここは立ち寄るだけの場所だと。
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クロが去った半年後、お腹を空かせたラテに夫がすぐさま食事を与えられたのは、クロのために用意していたフードを母屋に残していたからでした。ラテは今、私の実家で暮らしています。
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実家の家族の元で穏やかに過ごすラテを見ると、クロもこんなふうになれたのかもと思うこともあります。
それでもクロはクロらしく自由に飄々と、今もどこかで生きていることを願ってやみません。
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